ORASトリプルフリーに潜る時、どんな曲を聞いているだろうか。
BGMを選べるがソードシールドのようなおまかせ機能はなく、サンムーンのようにBGM名も表示されず「音楽XX」とだけ表示されるため毎回どれがどれかわからなくなる私はゲーム内BGMから適当に選択している。
とは言えしばらく潜り続けていると少しは気分を変えたくなるもので、音楽プレイヤーを起動しお気に入りのアーティストのアルバムを流しながら潜ることもある。
その日私が聴いていたのはSOUL'd OUTのSingle Collection。キャッチーなトラックに乗せて聞こえてくるのは歌詞カードを片手に持ってすら何を言ってるかわからない高速ラップでありながらその世界観は余すところなく脳裏を駆け巡るサウンド。一度聞けば忘れられないその曲は、15年以上前にリリースされたものでありながら今もって時代の先を言っていると評される名盤である。
ジョジョの奇妙な冒険に登場するキャラクター名の元ネタになっていることで有名な"ウェカピポ"に始まり中学校時代絶対ワンツースリーって言ってると思っていた歌詞が全然そうではなかった”Dream Drive”、アニメ「焼き立て!! ジャぱん」のエンディング曲だった"To All Tha Dreamsers"、アナウンサーが歌詞を朗読する動画がやたらシュールな”1,000,000 MONSTERS ATTACK”、特徴的なMVで人々を魅了する"イルカ"、聞く度なぜだか強い郷愁に駆られる"Starlight destiny"といった名曲の数々を聞きながらポケモンバトルを続ける私に突如天啓が舞い降りた。
すなわち、SOUL'd OUT統一パである。
そう。Single Collectionに収録された曲の中にはにはDiggy-MO'(SOUL'd OUTのリーダーである)から我々に向け、トリプルバトルのパーティを組めというメッセージが隠されていたのだ。そしてそのメッセージは16年の時を経て、今私のもとに届いた。この想いを無駄にする訳にはいかない。
はやる気持ちを抑え、Diggyからのメッセージを逃さぬよう冷静に歌詞を聞き込むこと3日。ついに私はその全容を解明し、構築の形に組み上げることに成功した。
ここに記すのはSOUL'd OUT統一パ。日本に一大ムーブメントを引き起こし今なお愛されるヒップホップグループがその活動の中で紡ぎ続けた未来への希望。ポケモンとSOUL'd OUTが織りなす協奏曲にして、いつか3DSのwi-fiサービスが終了することを承知の上でなおトリプルフリーに潜り続けるトレーナーへの鎮魂歌である。
【構築】
ポケモン | 持ち物 | 技1 | 技2 | 技3 | 技4 | 特性 |
ガルーラ | ガルーラナイト | すてみタックル | ねこだまし | けたぐり | まもる | きもったま |
ランドロス | とつげきチョッキ | だいちのちから | とんぼがえり | がんせきふうじ | はたきおとす | いかく |
サザンドラ | こだわりスカーフ | りゅうせいぐん | りゅうのはどう | あくのはどう | ちょうはつ | ふゆう |
ギルガルド | きあいのタスキ | シャドーボール | ラスターカノン | キングシールド | ワイドガード | バトルスイッチ |
ファイアロー | こだわりハチマキ | ブレイブバード | フレアドライブ | そらをとぶ | ねごと | はやてのつばさ |
サンダー | ラムのみ | 10まんボルト | おいかぜ | はねやすめ | ひかりのかべ | ラムのみ |
ただのガルスタンじゃねえか!
上記の6体を見てそう考えた諸氏も多いことだろう。
しかしそうではない。これは上述の通り私がDiggyからのメッセージを細かく紐解いた結果導き出された6体であり、ここに挙げたポケモンこそが、Diggyが信じた6体なのである。
それぞれのポケモンの採用理由と詳細な解説を以下に述べる。読了した暁には、私がこの6体にたどり着いた理由に必ずや納得いただけるだろう。
【詳細解説】
メガガルーラ 181-177-120-72-120-167(ようき)
"TOKYO通信 ~Urbs Communication~"の2:54~の歌詞に「YES そして限界を超えもう一度」とある。
限界を超え、とは言うまでもなくポケモンの限界を超えるメガシンカの暗喩。
メガシンカで「もう一度」とくればおわかりだろう。メガシンカにより初代単ノーマルポケモンとしての限界を乗り越え、追加攻撃を発生させる特性のおやこあいで一世を風靡したメガガルーラのことを指しているのだ。
TOKYO通信のリリースが2006年、XYの発売が2013年である。7年も前からメガガルーラの存在を予見し、その強さを見抜いていたDiggyの慧眼には恐れ入るよりほかない。
また、SOUL'd OUTはスター性とは裏腹にHipHop界隈では疎まれ聴いていると言うことすら憚られていたという逸話がある。
そのあまりの強さが故に手放しで好きなポケモンですということさえ躊躇われたメガガルーラと、類まれな才能を持ちながら素直に応援することを許されなかったSOUL'd OUT。この両者の一致は、決して偶然などではありえないのだ。
ランドロス 195-166-120-136-109-115(きまぐれ)
”ウェカピポ”の0:37~「アスファルトに網目状にひびが入るような地響き」。
この部分は間違いなくA145と非常に高い種族値から一致地面技を放つことができる霊獣ランドロスのことである。
このウェカピポという曲の歌詞は「若 若さの中不確かな迷いとか ウェカピポ」と自身の存在理念を求めるNの姿を歌っていたり、「逆 逆さまWorldの孤独に強く ウェカピポ」とギラティナと破れた世界を示唆していたりと、ポケモンのゲーム本編とリンクする部分が多く見受けられる。
ポケモン本編をプレイしたDiggyがウェカピポの作詞を行い、増田順一氏がウェカピポを聞くことでポケモン本編のインスピレーションを得るWin-Winの関係であったことは想像に難くない。
サザンドラ 171-×-111-194-111-146 (ひかえめ )
サザンドラの三つ首がそれぞれ何を表しているか知っているだろうか。
そう。Love, peace, そしてsoulである。この曲はサザンドラそのものについて歌っているのだ。
「かすり傷なんて無視だろ!」の歌詞は600族の高耐久にして悪ドラゴンの高耐性を表している。「そりゃ時に迷いやケンカだってあるけどでもいざとなったら互いに助け合う」「この強い自分を今 胸にしっかり刻んで 仰いだ空」の部分はモノズ、ジヘッドと進化しついに空へと飛び立ったサザンドラを描いている。
ギルガルド 136-×-170-112-170-112 (ひかえめ)
"ALIVE"の1:40~「リスク背負って立って GOT TO GO MY WAY」とある。
”リスク背負って立って”とは言うまでもない。被弾時に大ダメージを受けるブレードフォルムを晒している状態のことである。”GOT TO GO MY WAY”は和訳するのであれば”わが道をゆく”、さしずめ自分の信じた立ち回りを貫くといったところだろうか。つまりこの歌詞はブレードフォルムを晒すというリスクを負って行動し続けることで勝利を手繰り寄せる、Diggyの強気なプレイングを示しているのだ。
Diggy本人でない我々にそこまでのリスクを背負うのは容易でないことを加味し、本構築では気合の襷を持たせることでリスクを軽減し、よりブレードフォルムで行動しやすくしている。
ファイアロー 185-146-91-×-90-146 (いじっぱり)
"Dream Drive"の1:20~「もっと風切って疾走れ SO SPEEDY LET'S TAKE A RIDE」はどう考えても「はやてのつばさ」ファイアローのブレイブバードのことである。
優先度+1から風切るように相手をなぎ倒していくファイアロー。対戦でのイメージそのままの歌詞でありながらストーリーでは序盤鳥としてそらをとぶ要員になる部分をLET'S TAKE A RIDEと付け足すお茶目心には感心さえ覚える。
ゴキゲンなナンバーをバックに削れた相手をスイープしていくファイアローの姿はまさに夢心地。諸君もぜひ対戦の終盤で流してみてはいかがだろうか。
サンダー 197-×-120-147-132-127 (おだやか)
”ウェカピポ”の0:52~「見上げた空からのサンダー」
名指しで言ってるんだからそりゃ採用しない訳にはいかないだろう。
【総括】
いかがだっただろうか。この6体になった理由が十分理解いただけたことと思う。
そしてこれだけの名曲ぞろいでありながらトリプルバトル構築のためのメッセージを歌詞に忍ばせたSOUL'd OUTの技量には敬意を通り越して畏怖さえ覚えたことだろう。
何よりSOUL'D OUTは3人グループ。これは言うまでもなくトリプルバトルの暗示。
今回の構築をよく見てみればガルーラ、ランドロスはもちろんサザンガルド、バシャナットサンダーの有名な並びを形成したサンダー、言うまでもないファイアローとシングル勢にも馴染み深いポケモンが並んでいる。
Single Collectionはシングル勢がコレクションとして持っている(=当時のシングルバトルで活躍していた)ポケモンを用いた構築でトリプルバトルせよというSOUL'd OUTからのメッセージだったのだ。
ORAS発売年である2016年、SOUL'd OUTは全人類に惜しまれながら解散しメンバーである3人は現在、それぞれソロないしは別のグループに所属して活動を続けている。
Single Collectionに込められたメッセージとは、「我々は解散するがこのメッセージを受取りシングル勢がトリプルバトルをするようになった時、SOUL'd OUTとして復活する」というメッセージなのだ。
更にSOUL'd OUTのリーダーであるDiggy-MO'氏は帽子を常にかぶっていることで知られ、MVでは帽子を2重に被っていることもあるほどである。一方でアニメポケモンの主人公であるサトシも初代から今までハンチング帽がそのトレードマークの一つである。よく目を凝らして観察してみるとSOUL'd OUTとポケモンには不思議と共通点が多いことに気づけるだろう。ポケモンとSOUL'd OUT。異なる2つのコンテンツの交わりは決して偶然などではなく、全ては必然なのである。
よってポケットモンスタースカーレット・ヴァイオレット発売と同時にトリプルバトルは復活し、SOUL'd OUTも再結成される。
Q.E.D. 証明終了
【参考文献】
構築
スタンダード サンダー+ギルガルド2 - パメラのパラメ(配分)とか書くとこ
トレーナーカード
名曲揃いなので興味を持ってくれた人は是非聴こう
SOUL'd OUT オフィシャルYouTubeチャンネル - YouTube
SOUL'd OUT | ソニーミュージックオフィシャルサイト
Single Collection | SOUL'd OUT | ソニーミュージックオフィシャルサイト
【読んでみた】1,000,000 MONSTERS ATTACK SOUL'd OUT【元NHKアナウンサー 登坂淳一の活字三昧】【カバー】 - YouTube